はじめに|「意欲が低い」で終わらせていない?
臨床で、こんな場面はありませんか?
- ベッドで過ごす時間が長い
- 声をかけても「疲れる」と言われる
- 活動に誘っても断られる
つい「意欲が低い」と感じてしまう場面です。
自分も以前はそうでした。
ですがMOHO(人間作業モデル)で考えるようになってから、
「意欲低下=やる気の問題ではない」と気づきました。
この記事では、
意欲低下をMOHOの視点でどう捉え、
臨床でどう関わるかまで解説します。
MOHOで見る「意欲低下」の本質
MOHOでは、意欲低下を単一の原因で説明しません。
- 意志(価値・興味・できそう感)
- 習慣
- 環境
- 遂行能力
これらが重なった結果として起こります。 (リハビリの世界)
臨床でよくある悪循環
MOHOでは、次のような流れで考えます。
- 活動しない
- 成功体験が減る
- 「できない感覚」が強くなる
- さらに活動しなくなる
👉 このループが
意欲低下を強める原因になります。 (リハビリの世界)
【症例】「何もしたがらない」患者さん
ある患者さんは、
- ベッド上で過ごす時間が長い
- 誘っても断る
- 「疲れる」と話す
という状態でした。
最初は「意欲低下」と考えていましたが、
MOHOで整理すると👇
- 役割がなくなっている(習慣)
- 成功体験が減っている(意志)
- 環境が受動的(環境)
👉 「やる気がない」ではなく
行動できない構造がありました。
では、どう関わるか?(ここが重要)
① 小さな成功体験を作る
いきなり活動を増やすのではなく
👉 “できること”から始める
例:
- 5分だけ座る
- 簡単な作業を一緒にやる
👉 「できた」という感覚を増やす
② 意味のある作業に変える
リハビリそのものではなく
👉 その人にとって意味のある活動にする
例:
- 元主婦 → 洗濯物を畳む
- 元会社員 → 書類整理
👉 「やらされる」→「やりたい」に変わる
③ 環境を整える
意欲を上げるより先に👇
👉 行動しやすい環境を作る
例:
- 道具を手の届く位置に置く
- 声かけのタイミングを変える
④ 習慣に組み込む
単発ではなく
👉 生活の流れに入れる
例:
- 朝食後に活動
- 毎日同じ時間に実施
👉 継続しやすくなる
NGになりやすい関わり
- 「頑張りましょう」と励ます
- 無理に活動量を増やす
- 意欲を問題にする
👉 これらは逆効果になることもあります
まとめ
MOHOで意欲低下を見ると
- 「やる気の問題」ではなく
- 「構造の問題」として捉えられる
ようになります。
そして重要なのは
👉 意欲を上げるのではなく、行動しやすくすること
最後に
意欲低下に見える行動の裏には、
必ず理由があります。
MOHOはそれを整理するための強力なツールです。
「やる気がない」で終わらせず、
その人の背景を見ることが、
作業療法らしい関わりにつながると思います。
※注意書き
本記事は、作業療法における一般的な理論的視点を紹介することを目的としています。
医学的診断や治療を目的とするものではありません。
症状や対応については、必ず医師や担当の専門職と相談してください。
参考文献・参考資料
- 作業療法実践の理論
Gary Kielhofner(著), 山田孝(監訳).医学書院. - Kielhofner, G. (2008).
Model of Human Occupation: Theory and Application (4th ed.).
Lippincott Williams & Wilkins. - Kielhofner, G. (2017).
Model of Human Occupation: Theory and Application (5th ed.).
Wolters Kluwer.

コメント