リハビリが続かない理由|MOHOで考える「習慣化」の視点

学生向け

はじめに|続かない=怠けている?

臨床で、こんなふうに感じたことはないでしょうか。

  • 病棟ではやっていたのに、家ではやらない
  • 声をかけないと何もしない
  • 「続けましょう」と言っても定着しない

つい
「本人の意識の問題かな」
「性格なのかも」
と思ってしまう場面です。

MOHO(人間作業モデル)では、
この「続かない」という現象を、習慣化(Habituation)という視点から捉えます。


MOHOでいう「習慣化」とは何か

MOHOにおける習慣化とは、
単に「クセ」や「習慣」のことではありません。

人が、日々の生活の中で、
ほぼ無意識に繰り返している行動の型

これには、

  • 生活リズム
  • 日課
  • 役割
  • 環境との関係

すべてが含まれます。

つまり習慣化は、
その人の生活そのものです。


生活リズムが崩れると、何が起こるのか

病気や入院は、
それまで当たり前だった生活リズムを一気に壊します。

生活リズムあるある

  • 起床・就寝時間がバラバラ
  • 食事や活動がスケジュール管理
  • 「自分で決める時間」がなくなる

この状態が続くと、
自分で生活を動かす感覚が薄れていきます。

MOHOでは、
これを「習慣化の崩れ」と捉えます。


環境が変わると、行動も変わる

習慣は、
環境とセットで成り立っています。

環境あるある

  • 病棟ではできる
  • 家に帰ると動けない
  • デイでは参加するが、自宅ではしない

これは意欲の問題ではなく、
環境の手がかりが変わっただけかもしれません。

  • 置いてある物
  • 声をかける人
  • 時間の流れ

こうした環境要素が変わると、
行動も自然に変わります。


「やらない」のではなく「やる型がない」

臨床でよくあるのが、

「分かっているけど、やらない」

という評価です。

MOHOの習慣化の視点では、
これは

  • やる気がない
  • 理解できていない

ではなく、

「生活の中に組み込まれていない」

と考えます。

行動が定着するには、
「いつ・どこで・どうやるか」が
生活の流れの中に位置づいている必要があります。


役割が失われると、行動は減る

習慣化には、役割も深く関係しています。

  • 家事をしていた
  • 仕事をしていた
  • 家族の中で役割があった

病気や障害によって、
これらの役割が一時的に失われると、

  • 「やる理由」が見えなくなる
  • 行動のきっかけが消える

ということが起こります。

MOHOでは、
役割の変化=習慣化の変化として捉えます。


臨床あるある|続かない場面をどう見るか

たとえば、

  • 訓練は毎回できる
  • でも自主トレはしない

このときMOHOでは、
次のように考えます。

  • 生活のどこに組み込めそうか
  • 環境をどう変えられるか
  • 役割と結びつけられないか

「頑張らせる」より、
生活の型を一緒に作る視点が重要になります。


習慣は「作り直せる」

習慣化は、
一度崩れると戻らないものではありません。

  • 小さな行動
  • 同じ時間
  • 同じ場所

こうした繰り返しによって、
新しい生活の型は作られていきます。

MOHOでは、
習慣化を 再構築できるプロセス と考えます。


まとめ|続かない背景を見る

MOHO(人間作業モデル)の習慣化の視点を使うと、

  • 続かない理由を
  • 本人の性格や意識のせいにしなくて済む

ようになります。

生活リズム、環境、役割。
これらを整えることが、
作業療法らしい支援につながります。

次の記事では、
「遂行能力」という視点から、
「できる・できない」を考えていきます。


※注意書き

本記事は、作業療法における一般的な理論的考え方を紹介することを目的としています。
個別の評価・治療・判断については、必ず担当の専門職と相談してください。


参考文献・参考資料

  1. 作業療法実践の理論
     Gary Kielhofner(著), 山田孝(監訳).医学書院.
  2. Kielhofner, G. (2008).
     Model of Human Occupation: Theory and Application (4th ed.).
     Lippincott Williams & Wilkins.
  3. Kielhofner, G. (2017).
     Model of Human Occupation: Theory and Application (5th ed.).
     Wolters Kluwer.

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