認知症の症状と対応 part4

学生向け

こんにちは、現役作業療法士のスマティーです。

認知症では、認知機能の低下に加えて、抑うつや不眠、摂食障害など、さまざまな行動・心理症状が出現します。

これらの症状は環境や体調の影響を受けやすく、早期の気づきと適切な関わりが重要です。
本記事では、代表的な症状について特徴と対応のポイントを簡潔に整理しました。

今回は、part4になります。まだpart1part2part3を見てないよって方がいましたらどうぞ。

じゃあ、さっそく見ていきましょう!


抑うつ(Depression)

特徴

抑うつは認知症の早期からみられやすく、本人の生活の質だけでなく、介護者の負担にもつながります。
気分の落ち込みをはっきり訴えないことも多く、不安や焦り、身体の不調として表れる場合があります。

背景には、環境の変化や喪失体験、孤独、慢性的な痛みや病気などが関係していることがあります。

対応のポイント

  • 施設入所や生活環境の変化が最近なかったか確認する
  • 痛みや体調不良が続いていないか注意する
  • 不眠や不安、落ち着きのなさがないか観察する
  • 身体症状の訴えが増えていないか傾聴する
  • 自尊心の低下や自殺念慮が疑われる場合は特に慎重に対応する
  • 有酸素運動や表現活動(絵・音楽など)を取り入れる
  • 安心感を与える関わりを意識する

不眠(Insomnia)

特徴

不眠とは、寝つけない、途中で目が覚める、眠っても疲れが取れない状態を指します。
高齢者では加齢による睡眠の変化も多く、必ずしも治療が必要とは限りません。

対応のポイント

  • 日中の生活に支障が出ているかを確認する
  • 痛みや不安、抑うつなど他の要因がないか観察する
  • 就寝・起床時刻をできるだけ一定にする
  • 日中は日光を浴び、適度に体を動かす
  • 昼寝は短時間にとどめる
  • 寝室の音・光・温度など環境を整える
  • 寝床は「眠るための場所」として使う

拒食・摂食障害(Eating disorder)

特徴

認知症では、食事そのものが分からなくなったり、食事に集中できなくなったりすることで、食べない・食べにくい状態が起こります。
嚥下障害や意欲低下、幻視などが影響することもあります。

認知症のタイプによって、食行動の変化の現れ方はさまざまです。

対応のポイント

  • むせこみや咳、飲み込みにくさがないか確認する
  • 食事中に眠っていないか、集中できているか観察する
  • 食具の使いにくさや失行・失認がないか確認する
  • 半側空間無視があれば、食器の配置を工夫する
  • 静かで落ち着いた食事環境を整える
  • 意欲が低い場合は、寄り添いながら声かけを続ける
  • 幻視が疑われる場合は、刺激になりやすい食品を控える

参考文献・参考資料

・厚生労働省『認知症施策推進大綱』厚生労働省,2019.

・日本神経学会『認知症疾患診療ガイドライン2017』医学書院.

・日本老年精神医学会『BPSD(認知症の行動・心理症状)への対応ガイドライン』日本老年精神医学会.

・日本老年医学会『高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン』日本老年医学会.

・標準作業療法学 認知症 奈良勲・他 編,医学書院.

・作業療法臨床実践ガイド 認知症 日本作業療法士協会 監修,協同医書出版社.

認知症ケアのパーソン・センタード・ケア トム・キットウッド著,筒井書房.

・Alzheimer’s Association Dementia Care Practice Recommendations Alzheimer’s Association.

・World Health Organization Dementia: A Public Health Priority WHO, 2012.

・老年期精神障害の臨床 新井平伊 編,南江堂.

家族向けシリーズ|ここまで読んでくださった方へ

※注意書き

本記事は、作業療法における一般的な考え方を紹介することを目的としています。
個別の評価・治療・判断については、必ず担当の専門職と相談してください

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