認知症の症状と対応 part2

療法士向け

こんにちは、現役作業療法士のスマティーです。

認知症では、認知機能の低下に加えて、抑うつや不眠、摂食障害など、さまざまな行動・心理症状が出現します。

これらの症状は環境や体調の影響を受けやすく、早期の気づきと適切な関わりが重要です。
本記事では、代表的な症状について特徴と対応のポイントを簡潔に整理しました。

今回は、part2になります。

まだpart1を見てないよって方がいましたら是非part1からみてください

じゃあ、さっそく見ていきましょう!


攻撃性(Aggression)

特徴

暴言や暴力などの攻撃的な行動は、認知症が進行し社会的な判断力が低下した段階で起こりやすくなります。
物取られ妄想や人物誤認、不安や焦り、痛みなどの身体的不調、介護者との関係性が引き金になることもあります。

特に前頭葉や側頭葉の機能低下と関連があり、前頭側頭型認知症では頻繁にみられます。

対応のポイント

  • 起こりやすい時間帯・場面・相手・ケア内容を把握する
  • 否定的な声かけや態度になっていないか振り返る
  • 自傷行為や周囲への危険がないか注意する
  • 穏やかな声で、無理に説得せず共感的に接する
  • 落ち着くまで待ち、安心できる人や環境で対応する
  • 音楽や家族の付き添いなどで安心感を高める

帰宅欲求

(Request to go home)

特徴

「家に帰りたい」という訴えは、状況の誤認や不安、居心地の悪さから生じることが多い症状です。
特に夕方に起こりやすく、夕暮れ症候群の一症状としてみられることもあります。

「仕事が終わったから帰る」「ここは仮の場所」という思い込みや、家族と会えない寂しさが背景にある場合もあります。

対応のポイント

  • 出現する時間帯や頻度、興奮の強さを確認する
  • 不安・孤独・不満など、感情の背景を丁寧に聴く
  • いま本人が「どんな状況だと思っているか」を想像する
  • すぐに制止せず、気持ちに寄り添う
  • 好きなことや役割(夕食作りなど)で気分転換を図る
  • 家庭的で安心できる環境を整える
  • なじみの関係をつくり、生活の場として感じられるよう支援する

暴力

(Physically aggressive behavior)

特徴

暴力行為は、強い混乱や不安、意思疎通の困難さから生じることがあります。
痛みや便秘、不快な介助、慣れない環境、人間関係のストレスが引き金になることも少なくありません。

本人にとっては、暴力が「困っている」というサインになっている場合もあります。

対応のポイント

  • まず周囲と本人の安全を確保する
  • 衝動的か、特定の場面で起きているかを確認する
  • どんな行為や介助が引き金になっているか探る
  • 刺激の少ない場所に移動し、落ち着くまで付き添う
  • 穏やかな声と簡単な言葉、身振りで伝える
  • 無理強いせず、選択肢を提示する
  • 暴力を受けた介護者へのサポートも行う
  • 日頃から信頼関係を築き、安心できる環境を整える

参考文献・参考資料

・厚生労働省『認知症施策推進大綱』厚生労働省,2019.

・日本神経学会『認知症疾患診療ガイドライン2017』医学書院.

・日本老年精神医学会『BPSD(認知症の行動・心理症状)への対応ガイドライン』日本老年精神医学会.

・日本老年医学会『高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン』日本老年医学会.

・標準作業療法学 認知症 奈良勲・他 編,医学書院.

・作業療法臨床実践ガイド 認知症 日本作業療法士協会 監修,協同医書出版社.

認知症ケアのパーソン・センタード・ケア トム・キットウッド著,筒井書房.

・Alzheimer’s Association Dementia Care Practice Recommendations Alzheimer’s Association.

・World Health Organization Dementia: A Public Health Priority WHO, 2012.

・老年期精神障害の臨床 新井平伊 編,南江堂.

家族向けシリーズ|ここまで読んでくださった方へ

※注意書き

本記事は、作業療法における一般的な考え方を紹介することを目的としています。
個別の評価・治療・判断については、必ず担当の専門職と相談してください

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