MMSEをどう解釈する?

学生向け

こんにちは、現役作業療法士のスマティーです。

今回は、新人セラピストや実習前の学生へ向けて

認知症評価MMSEの注意点をまとめてお話させていただきます


作業療法士のための「点数の先」を読む評価視点

MMSEは、多くのOTが一度は使ったことのある認知機能検査です。
しかし、

  • 「点数は分かるけど、治療にどうつなげるか分からない」
  • 「ADL評価とどう結びつければいい?」

と悩むことも少なくありません。

この記事では、OTの臨床判断に直結するMMSEの解釈方法を解説します。


① MMSEは「能力検査」ではなく「状態把握」

まず大前提として、MMSEは

  • 認知症の診断ツールではない
  • 認知機能の“一部”を切り取ったスクリーニング

です。

つまりOTにとって重要なのは、
点数の高低そのものより、「どこでつまずいたか」です。


② 項目別にみるOT的な解釈ポイント

見当識が低い場合

示唆されること

  • 時間・場所の手がかりが弱い
  • 環境変化への適応が苦手

OT視点

  • 病棟や自宅で「迷いやすい」
  • 新しい生活リズムが定着しにくい

介入のヒント

  • 時計・カレンダー・表示物の活用
  • 毎日の生活パターンを固定化する支援

記銘・遅延再生が低い場合

示唆されること

  • 新しい情報の保持が困難
  • 学習効果が出にくい

OT視点

  • 指導した動作が翌日には抜けている
  • 家事や服薬の手順が定着しない

介入のヒント

  • メモ・チェックリスト・写真提示
  • 手続き記憶(繰り返し)を重視

計算(100−7)が低い場合

示唆されること

  • 注意・作業記憶・遂行機能の低下

OT視点

  • 二重課題に弱い
  • 家事の同時進行が難しい

介入のヒント

  • 作業を1工程ずつに分解
  • マルチタスクを避ける環境調整

言語項目が低い場合

示唆されること

  • 理解・表出のどちらか、または両方の低下

OT視点

  • 指示が通りにくい
  • 失敗体験が増えやすい

介入のヒント

  • 短く・具体的な指示
  • 視覚情報を併用する

図形模写が不良な場合

示唆されること

  • 視空間認知・構成障害
  • 実行機能の問題

OT視点

  • 更衣や調理でのミス
  • 空間把握が必要なADLに影響

介入のヒント

  • 物の配置を固定
  • 手順や配置を「見える化」

③ MMSE点数とADLをどう結びつけるか

一般的な目安として、

  • 23点以下:ADL障害が出始める
  • 18点以下:独居が困難
  • 15点以下:在宅独居は厳しい

とされています

ただしOT的には

同じ20点でも、

  • 見当識が弱い20点
  • 記憶が弱い20点

では、支援の方向性は全く異なります


④ OT評価としてのMMSEの正しい使い方

MMSEは

「この人は◯点だからできない」

「この項目が弱いから、この作業が難しいかもしれない」

という仮説を立てるための材料です。

その仮説を、

  • ADL評価
  • 作業観察
  • 家族情報

と照合することで、OT評価が完成します。


⑤ MMSEだけで判断しないために

OT臨床では、MMSE単独では不十分です。

  • 実際の生活場面
  • 習慣・役割・価値観
  • 環境要因

これらと組み合わせて初めて、
「その人にとって意味のある作業療法」につながります。


まとめ|MMSEはOTの「考える入口」

MMSEは答えをくれる検査ではありません。
OTにとっての価値は、

どんな生活上の困難が起きそうかを考える入口になること

点数ではなく、中身を見る評価をしていきましょう。

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※注意書き

本記事は、作業療法における一般的な考え方を紹介することを目的としています。
個別の評価・治療・判断については、必ず担当の専門職と相談してください

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