「家ではできない」のは失敗ではありません。病院と家は、条件が違います

家族向け

こんにちは、現役作業療法士のスマティーです。
今回は家族に向けてセラピスト側からの視点で
アドバイスできればと思います。


はじめに

「病院ではできていたのに、家だとできない」
「退院してから、前より動かなくなった気がする」
「私の関わり方が悪いのかな…」

こんなふうに感じて、
自分を責めてしまったことはありませんか?

まず、最初にお伝えしたいことがあります。

「家ではできない」と感じるのは、
失敗でも、後退でもありません。

多くのご家族が同じ壁にぶつかります。


結論|病院と家は「同じ場所」ではありません

結論からお伝えします。

病院でできていたことが、
家でできなくなるのは珍しいことではありません。
それは、能力が落ちたからではなく、
環境と条件が大きく違うからです。

できない=悪い、ではありません。


なぜ「家ではできない」と起こりやすいのか

理由①|環境がまったく違うから

病院や施設では、

  • 広くて平らな床
  • 手すりや道具が整っている
  • 近くにすぐ助けてくれる人がいる

一方、家では、

  • 段差や狭さ
  • いつもの家具
  • 「自分でやらなきゃ」という気持ち

条件が一気に変わります。

同じ人でも、場所が変われば難しさは変わります。


理由②|「できる前提」になるから

病院では、
「練習する場所」
「失敗しても大丈夫な場所」
という前提があります。

家に戻ると、

  • 失敗したくない
  • 迷惑をかけたくない
  • 家族に心配をかけたくない

こうした気持ちが強くなり、動きが止まってしまうことがあります。


理由③|疲れが表に出やすくなるから

家では、

  • 気が緩む
  • 生活の負担が増える
  • 休みどころが分かりにくい

結果として、疲れが一気に出やすくなります。
「やる気がなくなった」ように見えても、

実は疲れが表に出ているだけということも多いのです。


「できない=さぼっている」ではありません

家族はつい、

「病院ではできたのに、どうして?」

と思ってしまいます。

でも、それは怠けでも、甘えでもありません。

新しい環境に体と心が慣れようとしている途中
ということがほとんどです。


家族がやりがちな「良かれと思って」の落とし穴

  • 「ほら、病院ではできたでしょ」
  • 「前はできてたよ」
  • 「ちゃんとやらないと」

これらは、
励ましのつもりでも、
本人にはプレッシャーになることがあります。

比べる相手は、
「病院の姿」ではなく
「昨日の家での姿」で十分です。


家での「できた」を見つける視点

病院と同じことができなくても、
家には家の「できた」があります。

  • 少し時間はかかった
  • 手助けがあればできた
  • 途中までできた

これらはすべて、前進の形です。


家族ができる関わり方のヒント

① 比較をやめる

病院のとき

家での昨日・今日


② できなかった理由を探さない

できない日は、
理由が分からなくても大丈夫。

理由探しより、回復を待つ


③ 環境を少しだけ整える

  • 置き場所を変える
  • 動線を短くする
  • 休める場所を作る

関わりより、環境で楽になることも多いです。


専門職に伝えてほしい一言

もし迷ったら、このまま伝えてください。

  • 「家だと、できないことが多くて不安です」
  • 「病院との差が大きく感じます」

これは、よくある相談です。

家での様子を知ることは、
支援を考える上でとても大切な情報になります。


まとめ|「家ではできない」は、調整のスタート

  • 家と病院は条件が違う
  • できなくなるのは自然
  • 失敗ではなく、適応の途中

「家ではできない」と感じたときは、
責める必要はありません。

そこから、家に合ったやり方を
一緒に探していく段階

に入っただけです。


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※注意書き

本記事は、作業療法における一般的な考え方を紹介することを目的としています。
個別の評価・治療・判断については、必ず担当の専門職と相談してください

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