はじめに|「うつっぽいですね」で終わっていない?
臨床で、こんなやり取りはよくあります。
確かに、
活動量が減り、表情も乏しくなると
「うつ」「意欲低下」という言葉が浮かびます。
ただ、その言葉だけで整理してしまうと、
作業療法として何ができるのかが見えにくくなります。
MOHO(人間作業モデル)は、
診断名ではなく、生活と行動の流れからこの状態を捉えます。
MOHOは「診断」をつける理論ではない
最初に大切な前提です。
MOHOは、
ための理論ではありません。
MOHOが扱うのは、
「なぜ活動しなくなっているのか」
という作業的な理解です。
活動が減ると、何が起こるのか
MOHOの視点では、
活動量の低下は次のような流れで捉えられます。
この 悪循環 が続くと、
といった状態が見られることがあります。
MOHOで見る「意欲低下」の内側
MOHOでは、意欲低下を単一の原因で説明しません。
これまでの記事で見てきたように、
次の要素が重なっていることが多くあります。
意志の側面
習慣化の側面
遂行能力の側面
MOHOでは、
これらを 一つの状態としてまとめて理解 します。
臨床あるある|「何もしたがらない」場面
たとえば、
このときMOHOでは、
無理に行動を促す前に、こう考えます。
行動の量より、
行動の質と意味を重視します。
作業療法士にできる「小さな関わり」
MOHOの視点では、
大きな目標を立てるよりも、
- 短時間
- 低負荷
- 失敗しにくい
作業を通して、
「できた」という体験を重ねることを大切にします。
それは、
- 作品を完成させること
- 長時間活動すること
でなくても構いません。
「関われた」「少し動けた」
その積み重ねが、
悪循環を断ち切るきっかけになります。
ラベルより「流れ」を見る
MOHO(人間作業モデル)が強調するのは、
という見方です。
この視点に立つと、
が見えてきます。
まとめ|作業療法は「状態」ではなく「生活」を見る
MOHOで意欲低下・うつを考えると、
診断名に引っ張られすぎず、生活と作業の流れに目を向けられる
ようになります。
作業療法士ができるのは、
治すことではなく、
再び作業に関われる可能性をつくること。
次の記事では、
このMOHOシリーズ全体を振り返り、
MOHOがあると何が変わるのかをまとめます。
※注意書き
本記事は、作業療法における一般的な理論的視点を紹介することを目的としています。
医学的診断や治療を目的とするものではありません。
症状や対応については、必ず医師や担当の専門職と相談してください。
参考文献・参考資料
- 作業療法実践の理論
Gary Kielhofner(著), 山田孝(監訳).医学書院. - Kielhofner, G. (2008).
Model of Human Occupation: Theory and Application (4th ed.).
Lippincott Williams & Wilkins. - Kielhofner, G. (2017).
Model of Human Occupation: Theory and Application (5th ed.).
Wolters Kluwer.

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