こんにちは、現役作業療法士のスマティーです!
今回は、私の身体分野・精神分野・訪問リハビリなど幅広い経験から、作業科学と作業療法の違いを分かりやすく解説していきます。
はじめに
「作業科学って、作業療法と何が違うの?」
「結局、現場でどう関係しているのか分からない」
作業療法を学び始めた学生が、ほぼ必ずつまずくポイントです。
教科書を読んでも、
「理論っぽい」「実践とつながらない」と感じる人も多いでしょう。
この記事では、作業科学と作業療法の違いと関係を“暗記なし”で理解できるようにできるだけシンプルに解説します。
結論|作業科学は「考え方」、作業療法は「実践」
最初に結論です。
作業科学
→作業や人間の生活を理解するための学問(理論)
作業療法
→その考え方を使って人を支援する専門職(実践)
つまり、
作業科学は「土台」、作業療法は「応用」の関係にあります。

作業科学とは?
作業科学とは、
人が「作業(活動)」を通して、どのように生活し、生きているのかを研究する学問です。
ここでいう「作業」は、
- 仕事
- 家事
- 学業
- 趣味
- 人との関わり
など、人が日常的に行う意味のある活動すべてを指します。
作業科学が問いかけること
- 人はなぜ作業をするのか?
- 作業は健康や幸福にどう影響するのか?
- 作業ができないと、何が起こるのか?
「人と生活を理解するための視点」こそが作業科学です。
作業療法とは?
作業療法は、
作業科学の考え方を使って、人の生活を支援する実践です。
作業療法士は、
- 体の状態
- 心の状態
- 環境
- その人の価値観
を踏まえながら、その人にとって意味のある作業を取り戻す支援を行います。
作業療法は、「理論を学ぶこと」自体が目的ではありません。
生活を変えるために理論を使う専門職です。
具体例で見る「作業科学」と「作業療法」
例:高齢者が外出しなくなった場合
作業科学の視点
- なぜ外出という作業がその人にとって大切だったのか?
- 外出できないことで、生活や役割はどう変わったか?
→ 現象を理解する視点
作業療法の視点
- どうすれば再び外出できるか?
- 環境調整や作業の工夫は何が必要か?
→理解をもとに支援する実践
このように、
作業科学は「理解するためのレンズ」
作業療法は「行動に移す方法」
と言えます。
なぜ作業科学が「分かりにくい」のか?
作業科学が難しく感じられる理由は、主に次の3つです。
- 数式や手技がなく、抽象度が高い
- すぐに介入技法につながらない
- 正解が一つではない
しかし、これは欠点ではありません。
作業科学は「答えを出す学問」ではなく「考え方を深める学問」だからです。
学生が混乱しないための整理ポイント
混乱しやすい人は、次のように整理すると楽になります。
- 作業科学:
→「なぜ、この人にこの作業が大切なのか?」を考える - 作業療法:
→「どうすれば、その作業ができるようになるか?」を考える
この問いの違いが分かると、理論と実践がつながり始めます。
作業科学は「現場で使えない」のか?
結論から言うと、使えます。
ただし、作業科学は「そのまま使う技法」ではなく、
評価・目標設定・介入を考えるときの土台として使われます。
作業科学があることでのメリット!
- 目標がブレにくくなる
- 「その人らしさ」を見失いにくくなる
- 作業療法らしい視点を保てる
まとめ|作業科学と作業療法は切り離せない
- 作業科学:人と作業・生活を理解する学問
- 作業療法:その理解をもとに支援する実践
両者は別物ではなく、セットで初めて意味を持つ関係です。
作業科学が分かると、作業療法の「考え方」が一段深くなります。
参考文献
- Townsend E, Polatajko H. Enabling Occupation II. CAOT Publications.
- Kielhofner G. Model of Human Occupation. Lippincott Williams & Wilkins.
- 日本作業療法士協会.作業療法の定義と理論的背景.
- Clark F, et al. Occupational science: Academic innovation in the service of occupational therapy’s future.
- Yerxa EJ. Occupational science: A renaissance of service to humankind.
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※注意書き
本記事は、作業療法における一般的な考え方を紹介することを目的としています。
個別の評価・治療・判断については、必ず担当の専門職と相談してください


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